富士フイルムX100VのPR動画炎上で感じる事。謝罪だけでは済まなくなりそうな今後の影響

fuji

2020年2月5日に富士フィルムのカメラ「FUJIFILM X100V」のプロモーション動画の公開と共に瞬く間に炎上してしまい、動画の配信を停止する事態が発生しました。
この動画は各国6名のカメラマンによる撮影シーンや作例を紹介しているもので、東京カメラ部10選にも選ばれストリートスナップ界で高い評価を得ているカメラマンを取り上げたものでした。

主要カメラメーカー販売台数シェアでは、キヤノン・ニコン・ソニーの二桁台から大きく離されている富士フィルムですが、どうして物議を醸すような動画を公開してしまったのか疑問しか残りません。

その問題のPR動画では道行く人の正面からカメラマンが無断で撮影するというもので、明らかに嫌がって顔を背ける女性を撮影する様子が公開されています。

SNSやコメント欄では、「不審者だ」「通り魔と一緒」など批判的なコメントを多く見かけましたが、日本ではまさにその通りであると思います。

日本においては、日本国憲法第21条に表現の自由が明記されているので撮影も自由なのかと思いがちですが、日本国憲法第13条には以下の条文が明記されています。

日本国憲法第13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

その中の判例として、肖像権・名誉権・プライバシー権・自己決定権が新しい人権として認められるようになりました。

富士フィルムの一件は、肖像権やプライバシー権の侵害だけではなく、迷惑行為とも思われるような撮影手法を公開してしまい炎上してしまった事に問題があります。

肖像権やプライバシー権にはグレーな部分も多く、後ろ姿や横顔・はっきりと顔が判別できないものなどは問題がなく、写っている物に関しても民法上の責任が発生するだけで済むはずでした。
問題の動画では、待ち伏せや、こそっとカメラを取り出して進路に立ちふさがったりしている撮影方法も多く、迷惑防止条例的にはどうなんだろうと思う部分もあります。

もちろん私はストリートスナップ自体は悪だとは思っていませんし素晴らしい写真も沢山あると思っています。
私も肖像権については極力気を付けているつもりですが、映像である特性上全てを処理するのは難しく、ぼかし処理の忘れやめんどくさがってしまう事だってあります。

今回の件はプロアマ問わずカメラを扱う者だけではなく、一般の方々の多くの人にも知れ渡ってしまった事で、カメラを持っているだけでも白い目で見られてしまう可能性も出てきたと思います。

私の場合は、出版や製作の経験が長い映像作家の方に肖像権やプライバシー権についてご教授いただき、肖像権を侵害した場合に出版停止となれば損害賠償の可能性もあり得る事など写真や映像を扱う世界の恐ろしさなどを知りました。
それだけではなく、撮影時の移動時間や速度など違法性のあるものが無いかも細かくチェックされた事もありました。

最近は少し疎かにはなってきているような気もしてますが、「亀の甲より年の功」と言われるようにベテランの話を聞くことができた分、まだ幸せなのかもしれません。
私の映像に中途半端な切り取り方が多いのはそのためです。
人が掃ける時間を待ったり人の顔が判別できないように工夫したりなど、実際の撮影時間に対して待っている時間の方が長かったり、人がこっちを振り向かないシーンを何度も撮り直したりなどもあります。

自分自身の保身のためでもありますが、誰が自分の顧客になるかわからない場所で公に撮影をしているので、極力目立つ行動を慎んで活動を続けていますし、依頼があった時には法的にグレーな部分があれば、こちらからアドバイスをして修正を入れる事もあります。

近年は目立ってなんぼの世界というのも多く、この写真はコンプライアンス的にどうなんどろう?と疑問も多くなってきていますが、この一件では刑事責任か民事責任か以前に人の嫌がる事はしてはいけない、当たり前の事をカメラメーカーが公開してしまった事は今後も尾を引いていくでしょう。

撮影をしていた本人は論外ですが、老舗カメラメーカーがこんな事をやるかな?という疑問しかありませんし、法令に関する知識や経験が浅かった映像制作会社か広告代理店が絡んでいるような気がしていますが、カメラ業界に影響を与えてしまうような映像をチェックせずに公開してしまった富士フィルムの責任は重いと感じております。

こうなると思った。というのが正直な私の考えでしたが、連絡を取り合っているはずの人々が撮影者やメーカーの暴走を誰一人として止める事ができなかったのか・・本当に不思議です。

その後、撮影者を炎上した火の中に取り残す形でフジフィルムが謝罪の一文を掲載しましたが、これはあまりにも残酷すぎるのではないかと思います。
もちろん撮影者の行為は擁護できる事ではありませんし、今後もやってほしいとは思っていません。

ストリートスナップを楽しむ他のカメラマンも巻き込んで、違法なのか合法なのか、プロモーション動画を配信停止にした詳しい理由も無しに有耶無耶にして逃げるのはあまりにも無責任ではないでしょうか。

海外ではあり得る撮影手法なのかもしれませんし、革命を起こしたかった意図もあるかもしれませんが、ここはあくまで日本であり、一般の市民が迷惑だと感じる方へ進みがちです。
カメラ業界が息苦しくなってしまう前に、この件に関する詳しい見解を発表する責任は富士フィルムにあるのではないかと思います。

2020年2月7日20時00分発表

撮影から製作まで富士フィルムで行っていたとの記事がITmedia Newsから発表がなりました。

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